父が亡くなりました

 約一年間の入院の末、父はこの世を去りました。病院から連絡があり駆けつけた際には意識がなく、血圧も上が80、下は40を切っていました。病院に着いて1時間ほど過ぎた頃、上の血圧が50を切り看護師がもう脈を触れることができないと言い、血圧の測定を止めてしまいました。私は父の右手首に触れてみました。腎機能が失われているためひどいむくみでしたが、かすかに私は脈を触れることができました。30mmHg以下でも感じようと思えば指先に気持ちを集中させればできないことはないと思いました。

 鍼灸師である以上指先で些細な変化を見逃すまいと思ったのです。息を引き取った時の脈象を経験させてもらえたのは本当にありがたいことでした。現在鍼灸師は全国に約12万人。そのうち何人が臨終の脈象を経験できるのでしょうか?