東北自動車道で最も東京寄りにあるサービスエリアである蓮田にはちょっと特別な思い入れがある。最近リニューアルし、場所も今までよりももう少し東京寄りになった。
会津からお袋の実家のあった千住へ向かう時、家族4人の時は車だったが、だいたい夜に発っていた。あの当時親父はハイエースのスーパーロングに乗っていた。車の後部に子供用の布団を敷いて私と妹は寝て移動したものだ。40年前はまだ浦和までしか開通してなかったからそれから先は国道4号をさらに南下していくわけだが、その前に東北道最後の蓮田サービスエリアに寄ると、お袋は寝ていた私たちを起こしてトイレへ行かせた。お店は閉まっていたが自動販売機の灯りが点いていてトイレで用をすませるとお袋はなぜかロッテのチューインガムを買った。あの時のラインナップはもうないみたいだけど、コーヒー、スペアミント、クールミント、グリーンガム、クイッククエンチ、梅、なぜかいつもジューシーフレッシュを買い与えられた。ガラスの向こう側に縦にずらりと並んだ商品があって、レバーを引くと一番下段の商品が取り出し口に落ちてきたと思う。
親父がハンバーガーの出来上がりを待っていて、その隣にはカップヌードルとかギザギザカップのカップスターなんかの販売機があったっけ。お湯を入れるノズルがあって箸とかフォークが販売機に備え付けられてた。もしかしたら今よりもあの当時の方が自動販売機は面白かったような気がする。
蓮田で休憩後出発する時に「エルビー」の工場を目にすると「ああ、東京までもう少しだな。」と思ったものだ。ガムを噛みながらガムを包装している銀色の紙をくねくねさせて白くて薄い紙とロゴの入った銀紙とを引き剥がして遊んだ。
今は新座に住んでいるので蓮田で休憩することはまずない。しかし今回場所が移動してしまってあの看板をまじまじと眺めることがなくなると思うと何か幼少の頃の思い出がまた一つ失われてしまったような気がする。