お袋の実家の最寄駅が京成電鉄の千住大橋だったので、親父と上野動物園に行った帰りには今はなき「博物館動物園」駅から電車に乗ることがあった。国会議事堂のような石造りの建物を地下に降りていくなんとも言えない恐怖心を感じる駅だった。1997年に廃止されてしまったが、京成上野と日暮里の間にあって、京成上野から乗れば確実に座れるのにここからだと座れないことがあって親父には内心腹が立っていたことを覚えている。この駅はホームが短くて4両編成の普通列車しか停車できず、私が小学校の時にすでに6両編成の普通列車は通過していた。去年の秋に構内を期間限定で公開したそうだが、営業当時の様子を知っている人は、かなり少ないのではないだろうか?
お袋と出かけた時には国鉄(現JR)の上野駅から地下通路を通り京成上野駅まで歩くことがしばしばあったのだが、目につくのはホームレスの男性たちが通路の中央にある柱と柱の間に横たわっている光景だった。バブルの頃にはほとんど見ることはなかったように思うのだが、今になってあちこちで見かけるようになった。世の中ではキャッシュレス決済だとかほとんどの手続きがインターネットを介して行われているのだが、明らかに時代に取り残された人たちが確実に増えている。
今や接骨院はコンビニよりもその数が多いという。私とて同業なのでこの競争に敗れれば彼らと同じ状況にならない保証はない。10年経ったのちに、脇を好奇の目で通り過ぎていく子供たちを見送るようなことのない生き方をしたい。